宮崎県ボランティアセンター
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「社協職員のための福祉教育ワークショップ」を開催しました!投稿日 2023/03/30

 これまで社会福祉協議会は「地域福祉は福祉教育にはじまり、福祉教育におわる」という言葉を大切に福祉教育の実践に取組んできました。(そもそも福祉教育とは・・・
 しかし、組織内の人材不足や業務の多忙さから、福祉教育についてじっくり考える時間や振り返る機会がないまま日々の実践に挑んでいる福祉教育担当者が少なくありません。
 そこで今回、福祉教育の実践者である社協職員が福祉教育プログラムを体験し、自らの実践を振り返り、社協が取り組むべき福祉教育について考えることを目的に、
 令和5年3月3日(金)に「社協職員のための福祉教育ワークショップ」を開催しました。
 当日は、12か所の市町村社協から18名の方が参加されました。


オリエンテーション 
 今回のワークショップは企画段階から「福祉教育推進チーム」が関わっており、当日もファシリテーターとして6名のチーム委員が参加しました。オリエンテーションでは、ワークショップの流れを説明した後、チーム委員から一言ずつ自己紹介を行いました。

※福祉教育推進チームとは、宮崎県社会福祉協議会における福祉教育推進事業のモデル指定を受けてきた市町村社協で、かつ全社協主催の「福祉教育推進員研修」を修了した職員を中心に令和4年度から発足したチームです。

P3030036.JPG◁ 福祉教育推進チーム委員6名


模擬授業の実施
 県社協職員が授業者役、市町村社協職員(参加者)が生徒役となり、小学校4年生を対象とした「車いす体験」の模擬授業を実施しました。
 はじめに全体で車いすの使用方法や動かし方を確認した後、体験コースを実際に車いすで移動しました。
 車いす体験の終了後は、振り返りシートを記入し、模擬授業を受けてみて、伝わったこと、伝わらなかったことをチェックしました。(参考資料:模擬授業の実践事例車いす体験マップ振り返りシート

P3030043.JPG◁  車いす利用者役と介助者役を決めて、交互に体験しました

P3030056.JPG◁ スロープや段差の移動

P3030066.JPG◁ 外の公園にも出てみました


グループワーク
 振り返りシートの項目をふまえて、模擬授業の課題と、その課題の改善案についてグループで考えました。

P3030121.JPG◁ グループワークの様子 

P3030142.JPG◁ KJ法を使って考えをまとめました


全体発表
 グループワークで出た課題や改善案についてそれぞれのグループから発表しました。

P3030160.JPG◁ 発表の様子

▽ グループワークで出た課題と改善案(一部抜粋)

課題

改善案

・車いすに乗った記憶しか残らない
・車いす利用者の得意なことや日々の暮らしが伝わらない

・当事者から話を聞く
・当事者とのコミュニケーションの場を持つ

・授業者が子どもたちのことを分かっていない
・生徒の理解力がどの程度なのか分かっていない

・小学校での事前学習の内容を知る。
・生徒と同じ目線に立って一緒に考える
・アニメやイラストを取り入れた資料作り

・体験だけでは、地域のバリアフリーの仕組みや工夫には気付けない
・地域とのつながりが無い

・校外学習を行う
・地域との方との交流の場を設ける
・参観日に福祉教育の授業を行う

・振り返りの方法が一方的

・最初に生徒に車いすに対してのイメージを聞き、体験後の変化を聞く
・生徒に何を感じたか問いかけ考えてもらう
・生徒に振り返りシートを記入してもらう

・45分の授業では伝えられない
・先生の伝えたい内容が体験では伝わらない
・そもそも車いす体験は必要なのか?

・事前、事後学習が必要
・学校との話し合い、すり合わせ
・目的に沿ったプログラムを社協が提案する
・教育委員会との連携


まとめ
 今回、「社協が実施する車いす体験」をテーマに、模擬授業という方法を使ってワークショップを開催しました。

 県内の市町村社協の多くは疑似体験プログラム(車いす体験、アイマスク体験、高齢者疑似体験)を用いて、小・中学校等で福祉教育の授業を実践しています。

 疑似体験は、障がい者や高齢者への思いやりの気持ちを持つこと、ふくしへの関心を持つきっかけになるものですが、その反面「障害があると大変」「大変だから手助けしよう」という障がい者や高齢者に対する負のイメージを子どもたちに植えつけてしまう恐れもあります。こうした課題から、福祉教育実践は疑似体験だけでなく、当事者の思いや生活の様子に着目し、負のイメージで終わらないプログラムの実践が求められています。

 しかし、「学校側から疑似体験を依頼される」「1時間しか福祉教育の時間をもらえない」「組織内に福祉教育について教えてくれる人がいない」「別のプログラムを考える暇がない」等、従前の取組みを変えることが難しいという市町村社協の実態もあります。

 こうした現状をふまえ、今回のワークショップでは、疑似体験プログラムの課題を社協職員が自ら体感することで、実践に制限がある中でも社協として福祉教育で伝えるべきポイントは何か、伝えるためには具体的にどうすればよいのかを考える機会となるよう開催したところです。

 開催後の参加者アンケートでは、「福祉教育について一方的に講義を受けるのではなく、皆と考えて体験して感じることができた」「他社協での福祉教育、地域福祉教育のやり方、疑問に思っている事が共有できた」「最初はかなり頭を悩ませたが、推進チームの方がたくさんアドバイスをくれて今後の自分のためになった。」「自分が疑問に思っていた事、改善したいと思っていた事の答え合わせができた。」「さっそく今後、プログラムの立案と学校との打合せを行っていきたい。」等の感想や意見をいただきました。

 「模擬授業」という初めての方法で実施した今回のワークショップでしたが、参加して気づいたことや参加者同士でできたつながりをぜひ今後の実践に活かしていただけたらと思います。

 今後も福祉教育推進チームとともに県域での福祉教育推進について検討を重ね、実践に則した取組みを進めてまいります。

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